ディスカッションペーパー 12-01
U・Iターン時の仕事決定タイミングと正社員就職、報酬、仕事上の満足度の関連

平成24年3月12日

概要

研究の目的と方法

本研究の目的は、三大都市圏から非三大都市圏へU・Iターンする者の仕事上の満足度を高めるためには、いかなる対応が可能となるのかを検討することにある。

本研究に先立つ大谷(2011a)では、非三大都市圏の人口減少と三大都市圏との経済格差の問題を解消・抑制するための一手段として、三大都市圏から非三大都市圏へのU・Iターン促進策を検討しているが、非三大都市圏への移動によって仕事上の満足度が低下するとすれば、U・Iターン促進策が持つこの種の効果は減殺されてしまう。仕事上の満足度が低下する場合には、U・Iターンしてきた者が非三大都市圏内で失業・転職を余儀なくされることにより彼らの消費が抑制されるかもしれないし、失業・転職を契機に、中長期的には三大都市圏へ戻ってしまう可能性もあるためである。よって、U・Iターン促進策が非三大都市圏に対して及ぼすプラスの効果を確たるものにするには、仕事上の満足度を高めることが重要になる。

分析にあたっては、三大都市圏から非三大都市圏へのU・Iターンを実現した者に対して実施されたアンケートを利用した。

主な事実発見

分析より得られた結果は、次のとおりである。「引っ越してから仕事を決めた」者(「引っ越す前に仕事を決めた」者)は、非正社員(正社員)になる可能性が高まる(図上段の“後で仕事ダミー”参照)。非正社員(正社員)になった者は、仕事に対する報酬が低下する(高くなる)がゆえに仕事上の満足度が低下する(高くなる)。くわえて、「親等の介護」などの理由により引っ越した者は、「引っ越してから仕事を決める」傾向が強い(図下段の“「親等の介護」ダミー”参照)。

図 仕事決定タイミングと正社員就職の関係に係る分析(操作変数法)

図 仕事決定タイミングと正社員就職の関係に係る分析(操作変数法)/ディスカッションペーパー12-01

政策的含意

仕事上の満足度を高めるためには、正社員就職を促すことが重要となるが、そのためには (1) U・Iターンフェアの開催などにより、「引っ越す前に仕事を決める」よう促すことが重要。 (2) "潜在的"なU・Iターン希望者に対しても、彼らに適した政策の実施により「引っ越す前に仕事を決める」よう促すことが重要。 (3) 仕事を決める前に引っ越してきた者への支援も重要。現状では、彼らに対する支援や配慮が十分ではない可能性が残る。なお、 (4) 仕事上の満足度を高めることは、以前と比べて重要になっているのみならず今後いっそう重要になると考えられる。背景には、リーマンショックの発生や高齢化に起因した介護問題がある。

政策への貢献

これまでにほとんど蓄積のなかった、三大都市圏から非三大都市圏へのU・Iターンに係る議論を展開し、U・Iターンを非三大都市圏における人口減少問題や三大都市圏との経済格差問題の効率的な解消・抑制手段としても活用するためには、いかなる対応が重要となるのかを指摘した。

本文

研究期間

平成23年度

執筆担当者

大谷 剛
労働政策研究・研修機構 副主任研究員

入手方法等

入手方法

非売品です

お問合せ先

内容について
研究調整部 研究調整課 03(5991)5104

※本論文は、執筆者個人の責任で発表するものであり、労働政策研究・研修機構としての見解を示すものではありません。

ご意見・ご感想

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