資料シリーズ No.65
契約社員の人事管理―企業ヒアリング調査から―

平成 22年3月25日

概要

近年、契約社員が増加しつつある一方で、その人事管理の在り様については、ほとんど明らかにされていませんでした。そこで、本資料シリーズでは、契約社員がどのような仕事に従事し、どのような処遇を受け、そこでどのような問題が発生しているのかを運輸A社、卸売B社、ホテルC社、百貨店D社、情報通信E社、書店F社、サービスG社(コールセンター)の計7社を対象とするヒアリング調査により明らかにすることに取り組みました。この結果、企業が契約社員をさまざまな職種において、さまざまな目的のもとで活用し、その人事管理のあり方も多様であることが明らかになりました。収集した人事管理の概要は下記のとおりです(本文16頁、図表1-6参照)。

(1)職種/業務内容

職種は、乗務職(A社)、営業事務職(B社)、サービス職(C社)、専門職(C社、E社)、販売職(D社、F社)、営業職(E社、F社)、開発職(E社)、コールセンターオペレーター(G社)となっている。

(2)活用目的・理由

活用目的・理由をみると、人件費・コスト削減のため、期間の定めのない社員として雇用するリスクを回避するため、専門知識・技術・即戦力の活用のため、売り場運営に特化した人材を育成するため、試行的雇用のためとなっており、特定の活用目的・理由に集中しているということはない。なかには、契約社員が事業の主戦力となっているケースもある。

(3)契約期間・更新

契約期間をみると、1年契約が大半であり、それ以外には3年契約がみられる。

他方、契約更新の実態をみると、「雇止めの例なし」、「原則として更新」、「特段の問題がなければ更新」、「雇止めの例は少ない」、「大半が更新」、「人事評価に基づき更新」、「最長5年が上限」など幅がある。

また、試行的雇用を目的とする場合には、「正社員登用できなければ契約終了を検討」、「正社員登用できなければ契約終了」といった運用をしている。

(4)賃金制度

賃金制度には、いくつかのパターンが見受けられる。第1に、「月給+賞与」で「昇給あり」とするケースがある。これらの契約社員は、賃金水準は別として、賃金制度についてみるならば、一般的な正社員と類似しているといえる。

第2に、「月給」のみで「昇給あり」とするケースがある。これらの契約社員についても、勤続にともない一定程度の賃金上昇があるものと考えられる。

第3に、「月給+賞与」で「昇給なし」のケース、「月給」のみで昇給しないケースもある。これらの契約社員については、一般的な正社員とは賃金制度が大きく異なっているといえる。

第4に、年俸(毎年更改)というケース、月給が契約更新時に更改されるケースがある。これらについては、業績や働きぶりなどによって賃金が少なからず変動するものと考えられる。

(5)能力開発

能力開発のあり方をみると、正社員と同様にOJT、Off-JTを実施しているものが多い。

他方で、入社時研修以外は能力開発をしていない、入社時以外はOJTのみ、基本的には正社員と契約社員とで能力開発のあり方に違いはないが正社員に対してのみ付加的Off-JTを実施というように、正社員に比べて能力開発の機会が少ないケースも見受けられる。

また、正社員と契約社員の役割の違いを踏まえて、正社員とは別にOff-JTを実施するというケースもある。

(6)正社員との均衡処遇

正社員と契約社員の均衡処遇への対応についてみると、第1に、正社員より賃金水準は低いが、格差を縮小する方向ではなく、正社員化で対応しているケースがある。

第2に、正社員より賃金水準が低いが、業務内容、採用基準などから、合理的な水準だと考えられているケースがある。

第3に、それとは反対に、正社員より賃金水準が高いが、高度なスキルに相応しい水準だと社内で受け止められているケースがある。

第4に、コスト削減を目的として活用している職種では、処遇格差が問題となっており、試行的雇用を目的として活用している職種においては、賃金水準は低いが特別な問題は生じていないという企業もあった。

第5に、そもそも正社員と契約社員とで賃金水準の差がほとんどないケースもある。

(7)正社員登用・転換

契約社員の正社員登用・転換の実態をみてみると、第1に、原則として全員を正社員化ないし正社員転換するケースがある。

第2に、もっぱら試行的雇用を目的として契約社員を活用しており、入社者の7~8割が正社員登用されるケースがある。

第3に、選抜による正社員登用制度を設けているケースがある。ただし、そこには、正社員登用制度があるが希望者が少ないというケースも含まれる。

第4に、原則として正社員登用はないというケースもある。

執筆担当者

高橋康二
労働政策研究・研修機構研究員
前浦穂高
労働政策研究・研修機構研究員

研究期間

平成21年度

本文

入手方法等

お問合せ先

内容について
研究調整部 研究調整課 03(5991)5104

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