資料シリーズ No.76
個人加盟ユニオンの紛争解決
―セクハラをめぐる3つの紛争事例から―

平成22年9月17日

概要

研究の目的と方法

最近、急増しているセクハラ問題の実態とその紛争解決に努めている個人加盟ユニオンの役割を明らかにし、セクハラ問題の解決と予防に寄与することが研究の目的である。

研究方法は、セクハラ紛争解決を行った個人加盟ユニオンに対し、紛争当事者を紹介してもらい、ヒアリング調査を行った。3つのユニオン(兵庫県所在のあかし地域ユニオン、連合新潟・にいがたユニオン、連合福岡ユニオン)から3人の紛争を紹介してもらったが、そのうち、2つの事例について当事者本人から直接ヒアリングを行った。その際、ユニオンと当事者本人が所持している資料を提供してもらい、最大限、セクハラ問題の実態と解決プロセスを公平に解明するために努めた。

主な事実発見

セクハラ問題は、証拠立証が難しく解決が難しいといわれてきたが、個人加盟ユニオンは警察や労働行政が解決できなかったセクハラ問題を解決した。2つの事例は、ユニオンが加害者の会社と団体交渉を行い、紛争を自主解決した。残り1つの事例は、加害者のセクハラ否認・謝罪拒否などで団交による解決ができず、労働審判で紛争を終結した。3つの事例とも、最終的には加害者に対してセクハラ事実の認定、謝罪、賠償金(それぞれ120万円、200万円、350万円)の支払いをさせることができた。個人加盟ユニオンの紛争解決能力が高かった。今回の3つの事例では、ユニオンが紛争の解決だけではなく紛争の予防の役割をも果たした。

政策的含意

3つの事例とも、被害者はセクハラ問題を解決するために、加害者に対してセクハラ事実の認定、謝罪、そして納得できる賠償金の支払いを求めた。しかし、セクハラ問題を管轄している労働行政の雇用均等室は、被害者の求める解決をすることが難しい。均等法の改正等によって、均等室により強い権限を与えて、セクハラ問題をより積極的に解決・予防できるようにすべきである。

また、行政も解決できないセクハラ問題を解決している個人加盟ユニオンに対して公的支援のあり方を検討する必要があるのではないか。

政策への貢献

本資料シリーズは、裁判の判決以外では、いままで明らかになっていないセクハラ問題の実態とユニオンの紛争解決プロセスを3つの事例から明らかにすることができた。均等室の権限強化の必要性、ユニオンの高い解決能力・ユニオンへの公的支援の模索の必要性、また、セクハラ被害者に対する問題解決への方法の提示という面が政策への貢献としてあげられる。

本文

執筆担当者

呉 学殊
労働政策研究・研修機構 主任研究員

研究期間

平成22年度

入手方法等

お問合せ先

内容について
研究調整部 研究調整課 03(5991)5104

ご意見・ご感想

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