資料シリーズ No.98
第9回北東アジア労働フォーラム
労働者の能力開発とキャリア形成支援の現状と政策課題

平成24年 2月27日

概要

研究の目的と方法

労働政策研究・研修機構では毎年、中国労働保障科学研究院(CALSS)、韓国労働研究院(KLI)と共催で、日中韓に共通する労働政策課題を検討する「北東アジア労働フォーラム」を開催している。平成23年度は、「労働者の能力開発とキャリア形成支援の現状と政策課題」をテーマに、10月28日に日本(東京)で開催した。

主な事実発見

中国の報告

中国では、1994年の労働法改正以降、急速に労働分野の法整備を進めた。2007年の「就業促進法」の発行以降、就業促進と職業訓練に関する政策を重点施策としている。

職業能力開発(人的資源開発)政策の体系は、改革開放後30年あまりの経済発展やグローバル化の中で、高技能人材の育成が急務となり、「就業と職業訓練」を指導理念とした。政府は、「職業訓練を行い就業させる」、「学歴証書、職業訓練証書と職業訓練資格書は同等の重みを持つ」という2つの主要方針により職業能力開発体系を形成している。

具体的には、「主体型政策」(職業学校の教育、職業訓練に焦点した政策)、「基礎型政策」(政府による人的資源開発の基礎的事業関連政策)、「補助型訓練」(政府による人的資源開発推進過程における政策の効率・効能の促進向上)という三系統で施策を実施している。

韓国の報告

韓国は現在、産業構造の変化による労働者の熟練性の低下、雇用のミスマッチ等が深刻化しており、公共職業訓練政策の大きなエポック期である。企業規模や、正規・非正規などによる労働条件格差が顕在化し、職業訓練は、在職者、失業者、非経済活動人口全体にまで拡大している。支援方法は需要者中心となり、その政策成果が強調された。具体的な施策としては、中小企業支援コンソーシアム、職業訓練カード制・職業訓練アカウント制の導入、生涯職業能力開発基本計画の樹立及び推進、Eラーニング制度の拡充などである。

特に、職業訓練アカウント制(将来就業訓練カード制)は、西欧先進国の訓練バウチャー制度を韓国の実情に合わせて修正・開発したもので、韓国の失業者訓練の歴史に一線を画する重大な改革であり、アジア諸国の中でも先取的取組みだといえる。2010年の1年間で、アカウントの開設申請者は35万人超を数えた。

日本の報告

日本では、90年代前半のバブル崩壊以降、経済と雇用の情勢が変動し、人材ニーズ、職業訓練ニーズも大きく変化した。特に2000年代以降、労働市場の悪化に伴い、緊急対策の離職者訓練が、公共職業機関のみならず、民間教育訓練機関への委託訓練により盛んに実施されるようになった(委託訓練割合は7割以上)。さらに、リーマンショック後は、3年間で100万人の訓練実施を目標とした人材育成・就職支援基金が設けられたが、これは失業者の就業支援策としてのみでなく、セーフティネットの意味を含んだ訓練と位置付けられる。また、非正規労働者の増加に伴い、就業者個人について訓練と就業を記録するジョブ・カード制度が2008年に創設され、その活用への期待は高い。

「フリーター」や「ニート」など若年者への支援も、若年専用ジョブカフェの創設や学校でのキャリア教育の振興、日本版デュアルシステムの創設などにより実現している。

図表 韓国の職業能力開発アカウント制の事業体系図

図表 韓国の職業能力開発アカウント制の事業体系図/資料シリーズNo.98

政策的含意

日中韓三国における職業訓練とキャリア支援政策の歴史や概要と特徴、各国が現在抱える課題や詳細な状況が明らかになった。

政策への貢献

日本では、産業構造の変動や1990年代のバブル経済の崩壊により、特に若年層をとりまく就職やキャリア形成が大変厳しい状況にある。また、非正規雇用も拡大傾向にあり、こうした労働者の職業能力をどのように高めていくかが大きな課題となっている。同テーマを取り上げて日中韓の比較研究を行ったことで、厚生労働省における雇用政策の企画立案のための参考情報の提供をおこなった。

本文

  1. 資料シリーズ No.098 全文 (PDF:2.7MB)

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研究期間

平成23年度

お問合せ先

内容について
調査部 国際研究交流課 03(5903)6274

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