戦略的人的資源管理研究における従業員モチベーション─文献レビューと将来展望

要約

竹内 規彦(早稲田大学大学院教授)

近年、HRMと企業業績との関係が実証されるにつれ、HRMと企業業績間の「媒介過程」に注目が集まり、HRMのより近接した結果としての従業員態度・行動の影響に関する研究に強い関心が寄せられつつある。このSHRM研究における「行動アプローチ」の研究では、従業員の「モチベーション」が重要な媒介メカニズムの1つとして考えられている。本研究では、主としてHRM施策ないしはシステムと従業員の態度・行動を扱う既存のSHRM研究の文献レビューを通じ、現状の課題の明確化と今後の研究の方向性が議論された。具体的には、文献レビューの結果から、「構成概念としてモチベーションを捉えるSHRM研究」と「プロセスとしてモチベーションを捉えるSHRM研究」とに大別され、それぞれの視点から課題の抽出が行われた。さらに、従業員モチベーションを組み込んだSHRM研究の将来展望として4つの方向性が提起された。具体的には、(1)SHRMのコンテクストにおける「外発的動機づけ」の役割と効果の明確化、(2)戦略性の高い文脈情報を含めたモチベーション構成概念の開発と検討、(3)社会的交換の枠組みを超えた、HRM施策がもたらす新たな態度・行動要因を説明可能な理論の模索、及び(4)高業績HRM施策の代替となる資源や要因の特定化とその動機づけ効果の検討の4点である。本研究の限界と同時に今後さらなるレビューが必要な領域についても議論された。

2017年7月号(No.684) 特集●モチベーション研究の到達点

2017年6月26日 掲載