ワークモチベーション研究の現状と課題─課題遂行過程から見たワークモチベーション理論

要約

池田 浩(九州大学准教授)

ワークモチベーションに関心が寄せられてから100年あまりが経過した。その間、組織や従業員を取り巻く環境の変化に伴って多様なワークモチベーション理論が提唱されてきてきた。しかし、それぞれの理論がワークモチベーションのメカニズムにどのように位置づけられるか必ずしも明確ではない。本論文では、まず、今なぜワークモチベーションに着目する必要があるのかについて、昨今の組織を取り巻く環境の変化を意識しながら整理した。特に、働き方改革に伴い、今後、一人ひとりの自律的なワークモチベーションが一層求められるようになることを指摘した。次いで、ワークモチベーションの主要な理論を、課題遂行過程における課題への着手段階、中途段階、そして結果・完了段階に位置づけた。それによって、従来の理論がワークモチベーションのどの段階を意識したものかが明確になるとともに、従来の理論の実践的な意義を引き出すことができることを指摘した。そして、最後に、現在そして今後において学術的あるいは実践的に検討を進めるべき研究課題として、安全や正確性など失敗回避が求められる職務のもとでのワークモチベーション研究、シニアを対象とした理論的かつ実践的研究、そしてチームレベルのワークモチベーション研究を提起した。

2017年7月号(No.684) 特集●モチベーション研究の到達点

2017年6月26日 掲載