金銭的・非金銭的報酬とワークモチベーション

要約

安藤 至大(日本大学准教授)

本稿では、働くことのモチベーションとして金銭的報酬と非金銭的報酬が果たす役割について、経済学における考え方を簡潔に紹介する。まず伝統的な経済理論の枠組みでは、賃金が高いことがより長時間働くためのインセンティブとして機能すること、またモラルハザードの状況において成果に応じて十分な賃金の差が存在することが適切な努力を行うことの動機付けとして機能する点を説明する。次に金銭ではなく現物支給が活用される場合の理由を考える。現物支給には、使途を限定するという効果があるため、動機付けの手段として問題があるが、例えば現物支給の場合に労働者にとっての満足度が高く企業にとっての提供費用が安い場合などに活用される。続いて、金銭的報酬の限界として指摘されることが多い、マルチタスクや不適切な動機付けの問題、また内発的動機を損ねるという問題を説明する。最後に非金銭的報酬として仕事から得られる経験や心理的な満足度などが機能するという点について、また金銭的報酬と非金銭的報酬をどう組み合わせるのかに関する最近の研究を紹介する。

2017年7月号(No.684) 特集●モチベーション研究の到達点

2017年6月26日 掲載